碧雛蜜柑

登ったり攀ったり遡ったり走ったり滑ったり食ったり

”雪で尻を拭く”完全に理解した

理解した。そう、完全に理解したんだ。

 

 過去に雪で尻を拭いたけど二度とやりたくないという記事を書いた。

 

kotatsumuri39.hatenablog.com

 

実はあれからちょくちょく雪で尻を拭くことに果敢にトライしていた。
理由としてはこの記事アップ後、いろんな人との交流で「フィニッシュにだけ紙を使いエコに努める」という意見を見て得心がいったためだ。

 

そう、文明社会において尻を拭くには紙がいる。小学生でもわかることだ。
その事に慣れ切った我々一般やまのぼらーからすれば、山の中でトイレに間に合わず糞尿を垂れ流す場合に備えて巻紙を持っていくのは自明の理。
三種の神器とはザック・登山靴・雨具などではない。雨具・ヘッドライト・巻紙と言ってもいいくらいだ。
※これはそもそも「ザックと登山靴は入山時には身につけて行くものだから持ち物として挙げる必要がないだろう」という考えから来ている。ファーストエイドキット?はい、ぐうの音も出ない正論でございます。今日から神器は四天王にしよう

しかしながら糞尿はともかく紙はなかなか自然に還らない。そのため巻紙は持って帰ろうというのが現代登山の一般的なマナーと言える。や、知らんけど。
なお、「巻紙はどれくらい分解に時間がかかるか?」ということや糞尿と自然の関係についてはこちらを一読いただきたい。

 

「糞土思想」が地球を救う 葉っぱのぐそをはじめよう

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しかしキレが悪いと多く紙を使ってしまうし、いくら厳重に封をすると言ってもうんちぃ~が多量についた紙を持ち歩くというのはあまりいい気がしない。
そこで「フィニッシュは紙だとしても、うんちぃ~が落ち着くまで自然物を利用する」というのは非常に合理的だと思う。
そういうわけであれから3,4回雪山で用を足すことにより、過去の記事時点では気づかなかったorきちんと説明できなかった「雪で尻を拭くことの何が辛いか」が分かった。
合わせてその対策も紹介しようと思う。

 

 

 

“雪で尻を拭く”ことの辛さとは何か

自分も記事を書く最中に勘違いしていたが、実は尻を雪で拭くこと自体はそこまで苦痛じゃない
なぜかというと尻は体の中心部にあるため体温が高く血液もよく通る。最初はひやっとするがそこまでだ。そのため尻を雪山で丸出しにしても風が無ければすぐには冷えを感じない。
拭き終わったあと尻は多少濡れるが、体温が高い部分だしパンツやシェルもしているためすぐに乾く。
では何が辛いか。ずばり、手の冷えだ。体の末端の部位ほど冷えやすく、また温まりづらい。
パウダーの雪を押し固めようと素手で何度も握っているうちに手が冷え、かじかみ、いずれ痛みを感じるようになる。これがとても辛い。
つまり、辛さのポイントとしては

  1. 素手で雪を触ること
  2. パウダーの雪を何度も押し固めようとすること

の2つにある。これさえ解決してしまえば雪で尻を拭くことを完全に理解したと言っても過言ではない。

 

 

素手で雪を固めることを回避するためには

まず真っ先に思い浮かぶのがグローブを使うこと。
雪山登山者にとってグローブは必携品。ないことは自殺行為に等しい。
真冬の街中でさえ手がかじかむことがままあり、手袋をつける人が多い。
それよりも寒い上に風も強い雪山。雪を触ることもある。何より金属であるピッケルをキンキンに冷えた状態で素手のまま握るというのは相当無理がある。(これに関してはテープを巻いたりして回避出来るが)
では、そのグローブをつけて雪を固め、尻を拭くのか。
答えはNOだ。

え、だってだって、うんちぃ~がつくかもしれないのにお高い革グローブでお尻拭いちゃうの?うっそぉ~ん。そりゃNO,NO。NOだよ。
しかも革だと汚れが落ちづらい。素材になじんでしまう可能性がある。
もちろん、それでもやる人たちはいるだろう。吹雪いている中、そんなことを言っていられない人たち。そもそも山はそんなものだろと気にしない人たち。
そういう人たちはメンタルが強い。その域に到達する人間は少ないだろう。
ただ例外は当然ある。パウダー状でなく、安定した塊である雪を作り拭くことが出来ればそもそもうんちぃ~が手についてしまうことはない。
そういう意味ではグローブをつけたままでも安心して尻を拭けるような雪作りが大事とも言える。理想形だ。

「グ、グローブにうんこがァ!」を回避するための安全マージンも含めた上ではどう対応するか。
その答えの一つがテムレスだ。
そう、雪山登山者たちの間で何かと話題に上がりやすいテムレス。
あくまで個人的意見だが、雪山登山ではテムレスも必需品だ。
理由として、柔らかいので操作性が良い。また、裏返して干せば乾きやすい。そのためスコップを使う際などの作業用手袋として持っていくと重宝する。
このテムレス、素材はポリウレタンのため汚れは表面に乗るだけなので簡単に落ちる。
つまり、うんちぃ~が仮についても雪で洗えば簡単に落ちるし、安いから精神的ダメージも少ない。その上防水なので雪を触っても手が冷たくなりにくく雪を固めることに集中できる。
ぼくは通常のテムレスを使っているが、防寒テムレスというものもあるので雪山にはこちらが良いかもしれない。

 

 

 

 

余談だが、「防寒テムレスを雪山のメイングローブとして使えば安上がりでは?」という派閥がおり、「青だとださいから黒が欲しい」という声が多数あったのかついに雪山仕様で見た目もださくない防寒テムレスが最近登場した。

 

 なんと、バックルとドローコードがついている。その代わりお値段は6000円ほど。

 

いや、それなら普通にグローブ買えよ

これ以上は闇が深い論争に入るらしいのでここで終わり。

 

 

安定感ある固まった雪をゲットするには

まず、パウダーはどんなに強く固めてもさらさらと崩れていくということ。
多分、これを固まらせるには水を少量かけるしかない気がする。しかしそんなことで水を使うのはもったいない。では、どうするか。
深く掘る。これに尽きると思う。
表面の見えている雪はさらさらでも、掘っていけば固い雪になっていたりする。
スコップなどがあればブロック切って雪を掘り出してみるとよいと思う。ごろんと棒状の雪の塊が取れたりする。
大きな塊で安定しているものは、手で削ったりしてちょうどいい大きさに整形する。
そしてそれで尻を拭く。そうすればかなり安定して尻を拭くことが出来る。

 

 

雪で尻を拭く際の注意点

ただし、注意してほしいのが雪はあくまでも固まった直線状のもの。普段で紙で拭いているようにジャストフィットした形で拭きとれるわけじゃない。
雪の塊で拭いてうんちぃ~がついていなければパンツを履いても大丈夫だと思うが、心配であればあえてパウダーを少し固めてさらさら、またはゴリゴリと崩れていくように拭くと良い。ちょっとしたウォシュレット代わりになる。
そしてもう一度雪の塊で尻を拭き、余分な水分を拭き取る。仕上げに巻紙で尻を拭いて確認。
そうすればキレが悪くても持ち帰るペーパーは比較的綺麗なもののはずだし、使う量も少なく済む。
ちなみに事に及ぶ前に穴を掘ることは忘れずに。終わったあとは雪をかける。
風があるときは風よけがあると寒く無くて済むので、スコップで穴を掘りつつ風上に雪を積み上げられると効率よくトイレが作れる。
もちろん、これは余裕があるときのトイレの仕方だ。こんなものテント周りでないといちいちやっているわけにもいかない。
移動中であれば風が防げそうなところを見つけ、その横で穴を掘り、脱いで構えに入りつつ尻拭き用の雪を作るために表面の雪を掘り、パウダーでなく水分を含んだ雪が現れたら適度な形状・大きさに整形しておく。
ちなみに巻紙は首から下げられるようにロールにひもを通しておくか、巻紙を入れているジップロックに穴を空けてひもを通す。または飛んだりしないように雪を軽く掘って窪地を作りそこに置くと良い。

 

と、いうわけでこれでそこのあなたも“雪拭きマスター”だ。
雪山でもよおしたら積極的に試してみてほしい。そしてフィードバックがあればぜひ教えてほしい。
ま、雪で尻を拭くことを完全に理解したぼくに任せてもらえば大丈夫だと思う。
そう、完全に理解したぼくに。
……ん? 完全に……理解した……?

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まだまだ、一人前のうんぶりストには遠い