バレンタインデー直前に突然ブラックサンダーで戦力外通告を受けた話
毎度過去の話をするときにタイトルでオチをバラさないでくれと言われるんだけど、そんなこと言われたってオチつけないと何の話か分からないじゃんと思うんですが皆様いかがお過ごしでしょうかこんばんは。
これは自分の女性関係の話の中で、人生で2番目に何がどうしてそうなったのか知りたいことでもある。(1番目はリアルトラウマなので書けない)
突然だけど、ぼくは社会人登山サークルに入っている。山岳会ではない。
入会費も年会費も発生せず、インターネットで知り合った人たちで登山したりBBQしたり飲み会したりする社会人サークルだ。フットサルとかテニスとかと変わらないと思う。
で、たまに自分でも登山の企画を立てたりするんだけど、今回はそこで知り合った女性とのお話。
名前を仮に黒稲さんとする。なんでって、ブラックサンダー女子だから。
201x年1月、登山サークルで簡単な山の企画を立てた。
黒稲さんとはそこで知り合ったんだけど、正直かなり美人の類だった。
ただうちのサークルは人数が多く、イケメンや社会的ステータス高い人が割といるので基本自分は相手にされないというのと、そもそもあまり女性との出会いを目的にしていなかったのもあって「美人やなー」くらいの感想だった。
が、企画後の飲みで日本酒の好みが同じと知り、冬山も挑戦してみたいとの話もあって意気投合した。(当時自分は冬山へ行ったことがなかった)
今度個別で山登りに行きましょう、その計画立てるのも併せてまた飲みに行きましょう、と結構話はトントン拍子だった。
そういうわけでそれから2週間後くらいの飲み1回目。今度は山でなくお互い平日の仕事後に会う。
や、めっちゃ美人なんですけど
東京の南の方(ざっくりすぎる)に勤めているOLということだったのでキラキラ系なのかと思いきや気取らない感じにビジネスカジュアルでひざ下スカートにジャケット。ふわふわガーリーとかしてない。しかし簡素すぎることもなく襟の形やちょっとした装飾でキリッとした感じと可愛らしさを出している。え、何これ?芸能人?俺今芸能人と待ち合わせしてる?どこぞのアナウンサー??元ミス〇〇みたいな感じですか???
そんな感じの女性となぜか渋谷の立ち飲みワインバーでYAMAP*1見て翌週の山の予定を立ててる。どういうこと??
理解が追いつかないまま二軒目へ。今度は日本酒のお店。
ぼくが黒龍を頼むと黒稲さんは寫樂を頼む。もうね、バランスを完全に考えている注文だよね。完璧。120点。花丸あげちゃう。
いきさつは覚えてないけど、「恋人とどんなデートしたいか」なんていうベタな話題になって、
黒稲さん「あまりディ〇ニー(ハハッ)は興味無いんですよね……。それだったらおうちで一緒に映画見るとか、近くのカフェでまったり話してるとかのほうが。人多いところ苦手で……あ、でも夏祭りは好きなんですけど」
アーーーーッ、それぇーーーーーー!!!!
え、どこかにぼくの取扱説明書って売ってました?読んできちゃった?そういう感じ?ってくらいピンポイントな回答をしてくる。
しかも笑うときに目を合わせてこないところがポイント高い。「私美人だし、笑顔の私かわいいでしょ?」みたいな感じが一切ない。どちらかと言うと酒入って笑っちゃうのをじっと見られるのが恥ずかしい的な感じがほのかにする。これはずるい。東京事変の群青日和のPVでラストの間奏時ににやっと笑う椎名林檎のようなきゅんポイント。
で、その日は楽しく飲んでじゃあまた翌週ってことで帰った。
そして翌週の登山。
丹沢にある某山へ登山。登り出してから数時間で曇天となってしまったが、いろいろ話しながら登れて楽しかった。
下山後は伊勢原駅のジンギスカンを食べ、黒稲さんの出身が北海道ということでジンギスカントークをしたり、ぼくの大学時代の北海道キャンプツーリングの話をしてそこの観光名所には行った・行ってないの話をしたり、まあとにかく楽しかった。
帰り際に「今日はジンギスカン行きましたけど、とんかつで美味しいお店もあるのでオススメですよ」という話をして帰った。
それから2,3日後。
黒稲さんからのLINE「出張で丹沢の方まで来たので、この前教えてもらったとんかつのお店行ってみました!(写真つき)」
おまっ、わざわざ報告LINE来てるやん!!!
いやもうこんなの脈ありでしょ。え、そりゃ生きてるけどさ。いやいやいや、なんとも思ってない人にこんなLINEいちいち送る??
冷静になりながら「美味しかったですか?量多かったでしょ笑」と送ると「美味しかったけど量かなりありました笑 頑張って食べましたよ~」
え ら い
残さず食べる心意気、当たり前と言えばそれまでだがなかなか脂物を頑張って食べきる女子はなかなかそうはいまいて。えらい。(※盲目的になっています)
黒稲さん「それであの、また今度一緒に飲みに行きませんか?」
これが、20スロでロング引いたときの快感ってぇやつか……。確かにタバコの1本でも吸いたくなるぜえぇ……
しかし困ったことに、直近が空いていない。なんとか候補日をいくつか出すと、黒稲さんもそこは空いてないとのこと。
どうしたものかなと思っていると
黒稲さん「そこの日なら午前中だけ休日出勤なので、午後からでよければ大丈夫です!」
はいっっっっ…………きたー。来ましたよこれ。いやもうそういうことなんじゃないっすかね。どうでしょう、解説のみなさまがた。いやもうこれはほとんど間違いないと見ていいんじゃないですかね。だって俺ならそうじゃないとこんな態度取らないもん。物事には優先順位ってあるからさ?だからね?まあそういうことじゃん???
とは言えその翌日は人生初のハーフマラソンを控えていた。
残念ながらあまり遅くまでは飲めないが、まあ正直決めるならここだよなとなっていた。
そして運命の日。
午後から池袋で待ち合わせ。まずはよく行くオムライスのお店でランチ。
「オムライス好きなんですよね~」って話をすると「ちょっと子供っぽくて可愛いですね。ふふ」と。いや、いやいやいやいや……。待って待って、そのほうが何億倍も可愛いから。いやいやいやいやいやいや、お嬢さん。そういうのはね、ずるいと思うんですよ。男性に「子供っぽくて可愛い」なんて言っちゃダメよ……?実はめっっっっちゃ効くからなそれ。弱いから、そう言われるの。バブみ感じちゃうから。
で、次は南口公園でオシャなコーヒー買って芝生の前のベンチで飲みながらおしゃべり。
あぁ~~、なにこの「THE・休日」みたいなの。こういうの、こういうのしたかったんですよ。しかも黒稲さんちょっとそわそわしだして、「え、どうしたんだろう」って思ってたら
黒稲さん「こ、コーヒー飲んだら芝生でごろ寝しません……?」
ストライィィーーーーッック!!バッターアウッッ!!!!
やっぱコタおの取扱説明書ってどっかに売ってるんじゃねえかな。どこに売ってるんだそれ、俺にもくれ、セルフコントロールさせてくれ、いったん落ち着かせろ。
もうね、多分すごい気持ち悪い満面の笑みで「いいですよ」って答えたと思いますわ。いや、他に選択肢ある?ないよね。ここでNoって言えるやつすげえよ、たいしたもんだよ。断る理由なくない?
で、芝生に寝転がる。最初はお互い仰向けで話してるんだけど、そのうちお互い向き合う感じに。
いや、あの、顔、ちょっと近いっす、ふひ、え、ちょ、ていうかこの人まつ毛なっが。色濃くないけどビューラーだけ?え、マスカラなしでこのボリューム感なの?北海道出身って祖先アイヌ?アシリパさんじゃん。
いやー、今思うとここで言ってれば違う未来があったのかもしれない。
さすがにお互い気まずくなったので立ち上がり、「用品店でも行きますか、池袋はモンベル、エルブレス、好日山荘とあるんで!」と言ってそっちを見に行くことに。
で、一通り用品店見たあとは飲み。今回は最初から日本酒のお店をチョイス。
まあいろんな話をして楽しんで、二軒目どうしましょうかーと外出ると雨。
しかも結構な雨。え、このタイミングで?とか思っていると向こうも雨はちょっとなーって感じ。
これから歩き回るのもなんなので、昼間と同じカフェへ移動。幸いカフェにはコーヒーアレンジしたアルコールもあり、ひとまずそれで。
しかし雨降ってきたし帰り際っていうのも微妙になったから決めるタイミングどうしようかなー、店の中ってのもちょっと嫌だけど、雨降ってるからもう芝生も座れないしなーとかなんとか考えていると、突然そのときは来た。
黒稲さん「あっ、そういえば良ければこれあげます」
そう言ってカバンからぬっと出されたのはブラックサンダー。
「え、はあ……」
よく意味が分からず受け取る。そういえばこの人最初の飲みのときも行動食にってスニッカーズくれたし、この前の登山でもクッキー分けてくれたな。おばちゃん気質?とか思ってパッケージに目をやると
一目でギリと、分かるチョコ
目の前が真っ暗になった。
え、ちょっ……うぇっ?え、これ、そういう……えっ?でもなん、え?これ、なん、で……?
10秒くらい固まっていたと思う。
黒稲さんの方を見る。そこには侮蔑の顔や期待外れのような顔などもなく、普通に笑って普通に渡してきた感じがする。
え、今日2月x日だよ?さすがにバレンタイン直前じゃん、というかパッケージにそう書いてあるじゃん?さすがに気づかないってことはないでしょ。え、じゃあこれそういうこと?え、でもそしたらなんで?昼間のあれ何??
ぼくの混乱をよそに、店内に鳴り響く閉店の音楽。それは同時にここ数ヶ月のウキウキワクワクタイムの終了を告げる音でもあった。
わけもわからずお店から出る。ちなみに黒稲さんは何も変わった様子がない。プロ野球の監督でさえ選手に戦力外通告を渡すときはもうちょっと腹をくくった顔や申し訳なさそうな顔をすると思う。いつも通り、ほがらか。笑顔で人をどん底に落としてきた。え、ていうかこれ本当にそういうこと?
そして分からないまま別れる。最後まで黒稲さんの表情は変わらず、いつも通りだった。
それからはこちらからLINEしてもあまり返事もなく、山に誘っても予定が埋まっていて難しいと返ってくる。
翌月、別の人も交えて元々予定した山で久しぶりに会った。
その山も雨上がりだからぬかるんでいて気が進まないとか言われたが、もう一人が行きたいと言ったのもあり決行されたのだった。
会った感じ、話し方自体によそよそしさはあまり感じない。前と変わらない感じで話してくる。ただLINEの態度が態度だったし、そこは気まずくさせたくないだけなのかもと思うことにした。
が、もう一人が「写真撮るよー」というと普通に向こうから近づいてきてツーショットで撮る。ど、どういうこと……??
下山後、食事をしてるともう一人がトイレへ行ったので、その隙にそれとなく聞こうとした。
ブラックサンダーとはいえもらったものはもらったもので、しかもその日はホワイトデー数日前。一応お返しということでホワイトシリアルバーを渡した。
黒稲さん「え、これ……なんですか?」
「先月義理チョコをもらったので、そのお返しです」
黒稲さん「え、私バレンタインチョコなんてあげました……?」
え、じゃああのブラックサンダー何……?
世にも奇妙な物語 ~あの日もらったチョコの意味を僕はまだ知らない~。誰か解編をお願いします……
*1:国内最大手の一つである登山地図アプリ