碧雛蜜柑

登ったり攀ったり遡ったり走ったり滑ったり食ったり

【2019.07.13-16 北アルプス縦走③】槍の穂先で待つ景色とは

去年の夏に行った北アルプス縦走、3日目の記事となります。
この日は今回の山行で一番行動時間が長かったです。休憩もたくさんしたけど。

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朝からテンションたけえ

 

それもそのはず、南岳小屋に張り出されたヤマテンによる天気予報だと本日は曇りのち晴れ。
しかも行き先は

みんな大好き槍ヶ岳です。みんなとは……
初日は終始曇天、2日目は小雨⇒曇天→小雨だったため、ようやく青空が期待できるわけです。しかも今回の山行ではメインとも言えるピークに登る日に。
当然、期待が高まりますね。

土間でお湯を沸かしてフリーズドライの朝食をとり、乾燥室へ。

「どれどれ、乾いてるかな」ビチョォ

 

 

( ^ν^ )

 

「Takaさん、そっちは?」ビショオ

「ダメっすね」ビシャァ

「うーん、仕方ないか……」グショォ

ところがソックスを履くと意外なことにそこまで不快感がありません。冷たいけど、ぐちょぐちょという感じでもない。
メリノウールやはり優秀なのでは?

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ビチョォビチョォの雨具を羽織り、小屋を出ます。

今日の予定では槍ヶ岳の穂先まで行き、槍沢ルートを使いババ平キャンプ場でテント泊です。

 

 

出発

 

ヘッドランプを頭につけて小屋を出ると、空はもう明るいです。
というか入山してようやくの青空!!

少し歩いてから小屋の方を振り返ると……

 

 大キレットの迫力がすごい。
北穂高岳は遠く、雲を纏い、ゴジラの背のような岩山がそこには在りました。

「あそこ昨日越えてきたらしい」

「マジか……そう考えるとすごいね」

「ね。しかも雨降ってたやん」

「ここから見る限りだとあんなの越えられないよなあ」

整備された登山道があってこそ、ですね。

 

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改めて南岳小屋と大キレット

 

 

さて、槍ヶ岳へと足を踏み出します。

 

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画になるTakaさん

 南岳を越え、稜線歩きで槍ヶ岳に向かいます。

 

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ところどころ雪が残っています

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快晴ではないですが、これはこれで良い

 

ある程度歩いてから来た道を振り返ると

 

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奥に見えるピークが奥穂高岳でしょうか。
自分たちは涸沢から北穂高岳に直接上がってきたとは言え、見えている稜線のだいたいを歩いてきたんだなあと少し感慨深く思います。

 

そして中岳に至る坂を登った瞬間

 

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ついに槍の姿を捉えた

 

槍だァァァァ

 

ついに、ついに槍ヶ岳が見えました!

 

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槍の穂先をつまむTakaさん

ようやく槍の穂先が目の前に。

……ん?目の前?
いや、なんか、間に盛り上がってるの1個ない?

 

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おおばみぃ……きさまぁ……

 

「じゃあ大喰岳から見たらもっと迫力あるのかなっ!」なんて小学生みたいにワクワクしながら急ぐと

 

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晴れてると思った?残念ガスでした♪

おおばみぃ……きさまぁ……

 

「これで穂先ガスだったら今回悲しすぎるでしょ!急げ!急げ!」

と先を行きます。(そもそもすでにガスなんだけど)

 

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飛騨乗越


「晴れたきた!ええぞ!ええぞ!」

「いや、風上側あまり雲なさそうだからそこまで気にしなくていいんじゃないすか」

たしかに

冷静さを取り戻したところで、対面からお兄さん2人組が。

「こんちは」

「こんにちは~」

「お、ここもよく槍見えるね。悪いけど、撮ってもらっていいですか?」

「いいですよ」

「やぁ~、これイケマンやん、イケマン!」

「イケマン?」

「イケてるマウンテンよ」

「じゃあイケメン2人とイケマンっすね!撮りますよ~」

「イケメンに褒められたわ~」

 

山 は 優 し い 世 界 だ な あ

 

イケマンお兄さんズに別れを言い、自分たちは飛騨乗越の先へ。
槍ヶ岳山荘のテン場を越えると

 

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尾田栄一郎先生なら絶対「ドン」って使う

すぐそこに槍が!!

槍の穂先に向かう前に少し休憩を取ろうと槍ヶ岳山荘の売店へ行くと、レストランは10時からとのこと。
まだ時間があるので「じゃあ先に穂先に行きますか」とアタックザックに切り替えます。

 

3180mの山頂へ

 

 

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槍の穂先は登る側と下る側で道が分かれており、マーカーで記されています。(最後のハシゴなど、共通箇所もありますが)

山頂付近から振り返ると

 

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槍ヶ岳山荘がはっきりと見えます。意外に高度感ありますね。

最後にハシゴを登ると

 

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槍ヶ岳の山頂です!

標高3180m、日本で5番目に高いピークです。
360度見渡せる快晴というわけではありませんが、雲海の槍ヶ岳!十分に綺麗です。
曇天の上高地に始まり、小雨の涸沢、大キレットを越えてきた甲斐がありました。
元々槍ヶ岳が目的の山行というわけではありませんしたが、それでも行きたい山としてはやはり候補に挙がるため感無量です。

普段のオンシーズンだとこの山頂に上がるのにさえ渋滞が出来るとのことでしたが、3連休最終日のためか、土日の天気がよくなかったためか、山頂には数人いる程度でした。

なので

 

山頂で40分ほどたっぷりと過ごしました。

自分たちは槍の穂先の高度感や岩場の感じを怖いと思いませんでしたが、あとからやってきたワンダーフォーゲル部所属の大学生の子はおっかなびっくり登ってきたとのことだったので、個人差はありそうです。
南岳小屋で夏の期間アルバイトをしていると言っていたので、ぼくたちは昨日南岳小屋泊まりましたよという話をしました。(受付でビール買った際にいた子がその子だったような)

小屋番の子が先に降り、コーヒーも飲み終わったのでそろそろ槍ヶ岳山荘に戻るかと下山開始。

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下りは下り専用路を使います(写真真ん中)

そして山荘に戻ってくるとレストランで食事。

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麻婆ナス丼

早めの昼休憩をとり、のんびりとお茶を飲んだらババ平キャンプ場へと向かいます。

 

あとはひたすら下りの道

せっかくなので東鎌尾根側へ下り、瞬間だけそれっぽく味わったらすぐに殺生ヒュッテ側に降りてババ平まで下るルートを取ります。

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一瞬だけ東鎌尾根(というかこれは東鎌尾根に入るのか?)

黙々と下りますが時間も11時半を過ぎ、暑くなってきました。
坊主岩小屋を少し過ぎたあたりで雪解け最中の雪渓を発見。
周りを確認するもほとんど人もいない。

よし……!

 

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顔を洗う程度は序の口

 

ン~~~ギモヂィィィィイイイイ

 

「これ以上は見せられないよ!」って感じなんですが、このあとザックを置いて上も靴も靴下も脱ぎ、頭を洗ったり足を洗ったりTシャツを濡らしたりします。
いくら標高2000m以上がずっと続くとは言え、真夏に丸2日はお風呂に入っていないわけです。

そんなもん水浴びしたいに決まっているッッ!!

 ファイントラックのナノハンカチというものを友人のオススメで買って持っていきましたが、水に濡らしてぬぐうだけでも結構さっぱりするのでオススメです。
ただちょっと小さすぎるので、ナノタオルのほうが汎用性は高そう。

 

  さっぱりしたところで下山再開。

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目的地であるババ平キャンプ場まで槍沢に沿って下っていきます。

 

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ミヤマキンポウゲと間違えやすいシナノキンバイ。違いは光沢の有無

高山植物も咲いています。この子は高山植物の代名詞2・シナノキンバイですね。

 

始まる、ロスタイム

ババ平キャンプ場に着くとちょうど自分たちに追いついてきたお姉さんが一人。

「こんにちは。今日はこちらで?」

「いえ、18時の最終バスに間に合わせるつもりです!」

「え、今からで間に合うんですか?」

「まあ私荷物も軽いので大丈夫だと思います!1泊2日で槍ヶ岳なんですよ」

「1泊2日!?それはすごい。お気をつけて~」

……

「Takaさん、聞いた?」

「え?」

「18時のバス、急げば間に合うって」

「マジすか。ゆっくりしてもよくない?」

「あとはこの沢降りて行ったら横尾~上高地でしょ?」

「あー、たしかに」

「俺らテントあるから厳しいけど……、じゃあせめてもうちょっと降りて肉とビール買って最後に花咲かせたくない?」

「ありっすね」

と、いうわけで横尾まで降りることに。
横尾までは観光地だし、テン場もあるし、きっと肉もあるはず……!!

俺たちのロスタイム、スタートだッ!

 

とは意気込んだものの、この日は6時半から行動開始していてすでに13時半。
まあそのうち2時間くらいは休憩しているような気がしますが……。
日光もガンガン浴びているので、結構体力の消耗が激しいです。

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そんなとき、何も言っていないのに勝手に清流が現れ始め、

「周りに誰も人はいないの」

そう言った。あなたならどうする……?
最高だった……。

 

で、

なんやかんやあり(ないけど)、横尾のテン場まで着きました!ばんざーい!
時刻は15時半過ぎ。頑張れば18時のバスに間に合わないこともないけど

 

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もう、ゴールしてもいいよね

というわけでテントを張り、あれやこれやと吊るし(こういうときロープあると便利だね!)、

 

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無精ひげ……

 

カンパーイ🍻

 

肉とビールで乾杯です!くぅ~~~~

 

ん?

 

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肉とは

 

 

肉 ね ェ じ ゃ ん

 

はい、実は横尾山荘にはお肉の販売はありません。
というか、あとから聞いた話だと小梨平キャンプ場じゃないと無いみたいです。
ちなみに小梨平キャンプ場はほぼ上高地なので、横尾からコースタイムで3時間ほど。

こうして申し訳程度のお菓子で一杯やり、フリーズドライをハフハフして夕飯を済ませましたとさ。
その後、テントで今回の山行の話をしたり、九州の山の話や関東の山の話などをして最後の夜は過ぎていくのでした。

 

明日は上高地までなので観光も兼ねて寄り道してから帰ります。

 

 

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