碧雛蜜柑

登ったり攀ったり遡ったり走ったり滑ったり食ったり

わな猟免許、取ってみた!

なんだかYouTuberのようなタイトルになってしまった……。はいどーもー、つってね。

2019/8/30付でわな猟免許を取得しました。
その経緯や申請の方法、勉強内容や事前講習の内容や試験について書ければと思います。

 

きっかけ

もう本当にささいなきっかけです。友人からオススメされていた漫画を何の気なしに読んでみたことから始まります。

 いや、ほんとチョロいな。
言い訳をすると、背中を押したのは確かに罠ガールなんですが、元々ぼくは登山が趣味です。
そうすると登山中にシカに出会うこともままあるわけです。当然、食べたくなりますよね(?)

もうちょっと真面目に書くと、ぼくは知らない景色を見たり、知らない文化に触れたり、知らない食べ物を味わうことが好きです。なのでジビエにも興味はあり、シカ、イノシシ、クマ、ウサギ、ワニ、カンガルーなどを食べたことがあります。それらの動物は(牛などもそうですが)、動物園でも見ることが出来ます。しかし食卓に元の姿はなく、食品として目の前に並びます。そこで思うわけです。

「生き物と食べ物を認知する境界線はどこだろう?」

「食べるだけの自分たちは、対価を払って結果だけを享受している。過程を知らないのに本当の意味で”いただきます”と”ごちそうさま”を言えているのだろうか」

そんなようなことを前々から思っていたこともあり、”狩猟”という命そのものを相手にする行為に惹かれました。
※罠ガールの作中でも、鳥獣の命について言及されているシーンがいくつかあります
 

罠ガール(1) (電撃コミックスNEXT)

罠ガール(1) (電撃コミックスNEXT)

 

 

狩猟免許の種類と申請について

 つぶやきにもあるように、狩猟をするには免許が必要で、そのためには試験に受かる必要があります。
狩猟免許には次の4種類があります。

  • わな猟
  • 網猟
  • 第一種銃猟(実銃)
  • 第二種銃猟(空気銃)

免許の種類によって、狩猟可能な鳥獣が異なります。
また、免許の種類によって、各都道府県ごとに年間の試験回数が異なります。
今回ぼくがとるのはわな猟で、2019年度の埼玉県では4回実施されます。ちなみにわな猟では鳥類とクマは狩猟出来ません。
日付なども都道府県によって異なるため、受験希望の方は要確認です。
ちなみにですが、住民票に登録されている住所の都道府県で受験するのが原則です。
今年度は6/3(月)に受験の申込が開始となりました。最速は7/27だったのですが、試験まで予定が詰まっていることもあり、勉強期間を取りたいため第2回の8/25で申し込みました。


狩猟免許試験の申請書は管轄の事務所から郵送で送ってもらうか、事務所へ行き直接もらう方法があります。
ぼくは飯能在住のため西武環境管理事務所(ウェスタ川越)が管轄事務所となります。平日に直接行き申請書をもらいました。
申請に必要な書類は以下です。

  • 狩猟免許申請書(もらうやつ)
  • 証明写真
  • 埼玉県収入証紙(5200円分。同じ建物で購入可能)
  • 医師の診断書(ぼくはうつ病などではありません、という証明書)
  • 受験票送付用封筒と120円切手(申請書を郵送で送付する場合)
  • 免状送付用封筒と430円切手(郵送にて狩猟免状を希望する場合)

4つ目の医師の診断書についてですが、基本的には精神科か心療内科で診断してもらう必要があります。
値段は病院によって異なり、5000~10000円が相場とネットなどで見ました。
が、首都圏にお住いのみなさんに朗報です!
こちらの下北沢こころのクリニックでは3240円で診断していただけます。
院の「よくある質問」にもはっきりと記載されているため、安心して受けられます。
予約は必須ですのでご注意を。
※2019/9/18時点の情報です

ちなみに申請書は郵送で送付し、合格した際に発行される狩猟免状も平日夕方までに事務所まで取りに行くのが難しそうだったため郵送希望にしました。

 

事前講習会と勉強方法について

自治体の猟友会にて、試験1~2週間くらい前に試験のための勉強会を開いてくれます。
原付免許試験の直前にある一発塾と同じような類ですね。
一発塾の話出しておいてぼくは受けたことないんで確実なことは言えないんですが、事前講習会はもっとすごいと思います。
そもそも、事前講習会の講師が試験本番の試験官を担当されます。
のちほど説明しますが、狩猟免許試験では実技試験があります。

事前講習会と全く同じ内容が、実技試験で行われます。

まあつまりエクスカリバー約束された勝利ってことです。
そんなもの、受けないわけにはいかないですよね。

ちなみに自治体によって料金などが異なるらしいんですが、埼玉県猟友会の場合は1500円です。
1500円と言っても、実質タダです。

 ね?実質タダでしょ?
試験のほとんどもこの「狩猟読本」と「例題集」から出題されるため、市販の教本は一切不要だと思います。実際ぼくは買っていないですし。
事前講習会の申し込みは事務所でなく、猟友会事務所へ行く必要があります。埼玉県の場合は浦和合同庁舎になります。

勉強方法ですが、狩猟読本を1周したら例題集を解き、間違えた問題に印をつけてまた解く。3回以上間違えた問題はその個所をきちんと狩猟読本で読み直す、というような地道な勉強を行いました。基本的に暗記なので、裏技とかはないです。
まあ強いて言えば、罠ガール読んでると若干の事前知識があるので頭に入りやすいです。

 

狩猟免許試験の内容について

さて、お待たせしました。実際に狩猟免許試験がどんな感じになっているかです。
狩猟免許試験は以下の順番で進んでいきます。

①知識試験(3択マークシート

適性試験(簡単な聴力検査、視力検査、運動能力検査)

昼休憩、①②試験合格者発表(紙張り出し)

③実技試験(猟具の使用可否回答、わなの架設)

④鳥獣判定(狩猟鳥獣かどうかの回答)

まず①ですが、30問中7割の21問以上正解であれば合格です。事前講習会で「重要だよ」と言われた箇所に関する問題は出ます。引っかけ問題はほとんどなく、単純な知識問題です。
ただ注意してほしいのが、わな猟は鳥類の狩猟は出来ませんが、そんなことはおかまいなしに鳥類についても出題されます。
これは他のブログなどを見てもわな以外の範囲が出るかについての記載が半々だったため、勉強を怠っていました。都道府県によって違うのかもしれません。
他の猟具に関する問題は一切出ません。ただ、鳥獣に関する知識として、鳥類については出題されます。
ぼくのときは鳥の飛び方に関する問題や、営巣場所、渡り鳥か溜鳥かについてでした。
鳥類まで勉強すると非常に範囲が広がります。そのため、勉強するにしてもまずは獣類に絞り、例題集で9割を超えるようになったら鳥類も勉強する、でよいと思います。

②ですが、これは本当に簡易的です。
聴力検査はある程度試験官から離れたところに立ち、試験官が名前を呼びます。聞こえたら返事をして試験官の方へ歩く、というものです。
視力検査は学校や会社でやるような顕微鏡のようなものを覗いて行うあれです。ぼくの場合は2問正解したらもういいよと言われました。
身体能力テストは名前が大げさですが、試験官が手や指や腕を動かすので、同じ動作を真似して行えばOKです。ちなみに6人くらいずつで行うので、並んでいる時間が結構あります。(15分くらい)

お昼休憩後、試験結果が会場に張り出されます。
不合格の人はさよならとなります。ぼくが受けたときは3,4人くらい落ちていました。
お昼休憩は試験スケジュール上あまり長く取られていませんが、適性試験までが前倒しで終わるので実際かなり暇です。
おにぎりとか買ってこないで、外で食べればよかったなあと思いました。

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ちなみに、これが埼玉県の狩猟免許試験会場となる東松山市民文化センター。
東京の東村山と間違えてはいけない。もっとずっと僻地にある。

③ですが、これは事前講習会でやった内容と全く同じものが出ます。
まず最初は猟具の使用判定です。
並べられた6つの猟具を順番に見ていき、それが使用可能なら「使えます。くくり罠です。」などと答えます。使用不可能な場合は「使えません。」だけで大丈夫です。
次に実際にわな猟で使う猟具を架設します。
申し出がある場合はくくり罠の架設も可能ですが、特に何もなければ箱わなを架設します。事前講習会で箱わなを使ったため、ぼくは箱わなを架設しました。
事前講習会と全く同じものなので、何も不安はありませんでしたが、油断はしないようにきちんと確認しながらやりましょう。

④ですが、これも事前講習会と同じ問題が出ます。
狩猟読本の巻頭カラーページに載っている鳥獣の絵10種がランダムで掲げられ、狩猟対象の場合は「獲れます。ニホンジカです。」などと答えます。狩猟対象でない場合は「獲れません。」だけで大丈夫です。
ただ、狩猟読本のカラーページに載っている鳥獣は結構数が多いです。

でも大丈夫!だって、事前講習会で出てきた鳥獣の絵しか出てこないから!

いやこれ、ほんとどうなのって感じなんですが、日本の免許制度なんてこんなもんです。若い狩猟者はどんどん減っていると言いますし、少しでも取らせたいのかもしれません。

試験としてはこれで以上です。あとは結果を待つのみなんですが、これもものすごく時間があります。そう、1時間半くらい。
本当に暇なので、わな猟免許試験会場で前日発売されたばかりの罠ガール4巻を読むということをしていました。ちなみに、会場に女子高生はいませんでした。

 

試験の結果

そういうわけで4/26に思いつき、6/14から勉強を開始し(かなり遊んでたけど)、8/10,11の事前講習会に参加し、8/25に試験を受けてきました。

 無事試験に合格しました!

試験の難易度から言うと、決して高くはありません。原付免許と同等です。むしろ日本語が素直な分、わな猟免許試験のほうが易しいかもしれません。
ただ試験申込書を手に入れたり、診断書を手に入れたり、ちょっと手間が多いです。
Twitterでは試験勉強するからTwitterを控えるような感じに受け取れるつぶやきをしましたが、だいたい土日は遊んでました
通勤電車の中で例題集を解いて、分からないことがあれば夜に狩猟読本を眺めるといった感じです。
7月は仕事も忙しかったですし、実際の勉強時間だと30~40時間ほどでしょうか。
手間をかけているしお金も1万円近くかかっているので落ちたくなかったというのもあり、割と時間はかけました。例題集も98%正解できるようになっていました。

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狩猟免状はこんな感じです。
狩猟者登録期間は10/15からになりますが、この免状を持って狩猟者登録を行うことが出来ます。
狩猟者登録を行わないと、狩猟することは出来ません。試験に受かっただけでは勝手に狩猟してはダメってことですね。

 

今後の狩猟生活について

実際に免許を取ってみたものの、じゃあ早速今シーズンから狩猟をするのかというのと、正直微妙なところです。というのも、狩猟者登録には諭吉さん1人以上のお金がかかり、3000万円以上の損害賠償を備えた保険加入が必須です。
また、わな猟というのは罠を仕掛けて毎日見回り、獲物を待つ時間のかかる猟です。
仕掛けた翌日見に行ったら獲物が掛かっているなんていうのはプロ中のプロの技でしょう。
免許を持っているだけのぼくが狩猟を行うには、現実的に考えれば猟友会に所属しイロハを教えてもらいながら狩猟することになります。猟友会に入会するのにも当然お金はかかります。
そんなわけでお金と時間と手間がかかるのが狩猟です。平日は都内へ通勤しているサラリーマンは特に厳しいです。正直わな猟に向いていない職業です。
また、狩猟は主に冬がシーズンとなります。(狩猟期間は11/15~2/15まで)
ぼくは年中山に行きます。いや、狩猟じゃなくて登山で。
雪山の時期というのは限られています。本格的と言って差し支えのない雪山シーズンを迎えるのが次で2回目となります。まだまだ少しでも雪山の世界に触れていたい、早く慣れたいというウキウキワクワクドキドキの時期です。
狩猟も当然始めればそうです。ただ、両立は難しいとはっきり感じています。
なので「狩猟登録するからにはがっつりやりたい。でもそれは今シーズンかと言われると……う~ん。」というのが本音です。(車も持っていないですし)

それでも、登録をすれば狩猟が行える立場にいることには変わりません。
今後の登山では動物の痕跡などにも着目するようにして、人と山と花だけでなく、そこに生きる鳥獣にまで目を向けられるようになりたいです。